2007年5月にフランス美術専門誌ユニベール・デ・ザール社が日本でフランス画家のデモンストレーションをした。オーナーで、編集長のパトリス・ド・ラ・ペリエール夫妻が来日した。ドラペリエール氏とは、20年数年来の友人なので、私も招かれてこの展示会に出かけた。すでに、弊社と独占契約をしていたミッシェル・マルグレイ,ミッシェル・アンリ,ジェラール・ジェベールなどの人気作家も含む100人程のフランス作家が展示された。その内10人程の作家が、私の目を引いた。私は、その10人程の作家の名前をメモして、パトリス・ド・ラ・ペリエールに渡たした。彼は、11月の私のフランス出張の際、その画家達を紹介してくれると言う。私の胸は高鳴った。10人の画家の中で、南仏やスペインの家の壁の様な大きなナイフの後を残す大胆で美しいマチエールの画家の絵画があって、特に心に残った。

 予定通りに、11月にフランスに出張した。パリの街はプラタナスの葉も落ち始め、冬の訪れを感じさせる。私は、ユニベール・デ・ザール社で画家を待った。3人程の画家と会って話をして、資料を送ってもらう約束をした。4人目は親子で画家の賑やかな画家一家だった。多いに盛り上がり大騒ぎして帰って行った。けれども私は、早めに来て待ってくれていた繊細な感じの画家の方が気になっていた。私は、その画家に<お待たせしてすみません。>と言った。画家は<マニュエル・リュバロです。よろしく。>と言った。私は、<スペインの家の壁のようなナイフのマチエールの絵画を描くあの画家ですか。>と言う。<そうです。>。私はすぐに、アトリエに行く約束をし、資料を送ってくれるように頼んだ。リュバロは正直で誠実そうな人だった。絵画は前から気に行っていた。長く一緒に仕事をするには、誠実で正直な相手とでないとパートナーシップが組めない。私も正直で誠実が信条だ。絵画のマーケットを開拓する仕事には、長い時間と継続的な努力が必要だ。そして、画家と画商の誠実な信頼関係が欠かせない。その後にまだ数人の画家に会った。これで、今回の仕事は終わった。残りの3日間は美術館に行き、カフェで放心し、夜はビストロで酔っ払った。

 2008年大阪と京都の百貨店での現代エコール・ド・パリ展に、リュバロの絵画を出展した。評判は上々だ。東京、 神戸でも評判が良い。リュバロの絵画は繊細で大胆だ。大きな構図に大胆なタッチで描く。色彩は強烈だ。彼の絵画は激しさと大胆さに満ちているが、震えるような繊細な感性と優しさを感じさせる。リュバロの絵画は、生命の泉だ。見る人にパワーと勇気を与える。爆発する強烈な赤と黄色が透明なエネルギーを放射している。繊細さと大胆さが同居する不思議な画家だ。リュバロは職人的な正確さで描くが、彼の絵画は誰の絵にも似ていない。オリジナリティの高い画家だ。彼の豊富なイマジネーションは、いつも新しい試みをキャンヴァスに実現する。一人の人間の中に繊細さと大胆さが同居するのは耐え難いことのように思える。繊細な感性が、どのようにして大胆さに耐えるのだろうか。小さな風のささやき、花の色の移ろい、心の震えにまで敏感な画家が、どのようにあの激しさと大きな変化に耐えるのだろうか。もちろん、そのアンバランスこそが未知の世界を創造するエネルギーなのかもしれない。アル中になったり、麻薬に逃げるアーティストも多い。リュバロは極めて健康だ。なぜだろう?2度、3度と彼と会い話を聞くうちに、私はその疑問の答えを見つけた。リュバロは合気道の有段者で、禅僧のように、毎朝禅を組み瞑想をするそうだ。つまり、合気道と禅によって心のバランスをとっているようだ。瞑想の中、祈りの中に精神の矛盾捨て、イマジネーションと創造に昇華しているのだろう。

 

                                    

 

 

 

 

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